「空想の産物」だったレーザー兵器はいかにして現実的な兵器となったのか? – GIGAZINE

by Andrew “FastLizard4” Adams

かつて光線銃やレーザー銃は現実的に不可能な兵器であり、SF映画や漫画にしか出てこない存在だとされていました。しかし、近年レーザー兵器は少しずつ現実のものとなっています。人類はどのようにしてレーザー兵器を実現したのかについて、兵器や乗り物関連のニュースを扱うThe Driveがまとめています。

How The As soon as Elusive Dream Of Laser Weapons Immediately Grew to become A Actuality
https://www.thedrive.com/the-war-zone/37775/how-the-once-elusive-dream-of-laser-weapons-suddenly-became-a-reality

「光線を発射してダメージを与える」というレーザー兵器のアイデア自体は古くから存在しており、1898年に発表されたH・G・ウェルズのSF小説「宇宙戦争」では、火星人が乗り込んだトライポッド(三脚戦車)から「Warmth Ray(熱線)」を発射するシーンが描写されています。Warmth Rayは「未知の材料でできた放物面鏡から、任意のオブジェクトに対して平行ビームで投射される熱エネルギー」で、明るく白い光という形で目視可能という設定です。

単一波長で指向性と収束性に優れたレーザーは1957年に現実に発明されましたが、発明から60年以上経った2020年においてもレーザーは兵器として実用化されていません。その理由について、軍需企業であるロッキード・マーティンのレーザー・センサーシステム部門上級研究員であるロブ・アフザル博士は、レーザー兵器の開発がなかなか進まなかった理由の1つは、「レーザー兵器の当初の用途が戦略的防衛任務だったから」だと述べています。

by {Photograph} Curator

軍事任務の中でも特に難しい任務が、弾道ミサイルから国土を守ることです。レーザー兵器があれば弾道ミサイルを撃ち落とすことも可能ですが、飛来するミサイルを撃墜できるほどの出力が可能なレーザー兵器はあまりにも大きすぎるため、トラックや飛行機、船でさえも搭載や運用が不可能だと考えられました。「本当にやってくるかわからない攻撃に備えて、運用と維持に莫大なコストがかかる高出力レーザー兵器の開発を進める」というのはあまりにもハイリスク・ローリターンだったため、検討されなかったというわけです。

しかし、20世紀末に冷戦が終了し、核弾頭搭載の弾道ミサイルを抱えて大国がにらみ合いをする時代は終わりました。現代では、実戦で脅威になるのは巨大な核ミサイルではなく、武装ドローンや迫撃砲、ロケット砲など、大量生産された低コストの兵器です。戦争のあり方が変わったことで、「戦略的防衛」よりも「戦術的防衛」が重要視されるようになり、「非常に素早く反応し、非常に短い時間で効果を出すこと」が求められるようになりました。

1960年頃に光ファイバーが登場したことから、レーザー兵器の実現可能性が高くなりました。光ファイバーには「少ない損失率で光を長距離まで届けることができる」という特性があることから、1990年頃から光ファイバーを用いた通信装置の開発が始まり、現代の高速インターネット技術の発展につながりました。さらに、この光ファイバーによる通信技術はやがてファイバーレーザー技術の開発につながります。ファイバーレーザーによって低コストで高出力なレーザー兵器の開発が可能になりました。

by Groman123

ファイバーレーザーを使ったレーザー兵器は、単一の高出力レーザーを発射するのではなく、無数の光ファイバーを利用して複数のレーザーを1つに束ねるようにしてレーザーを発射します。光をプリズムに通すと波長に応じてさまざまな色の光に分解されますが、ファイバーレーザーを使ったレーザー兵器はまさにこのプリズムの逆を行うように、さまざまな周波数の光を1つに束ねてしまうというわけです。

ファイバーレーザー技術を応用することで、電力の30%~35%をレーザーに変換できるようになりました。一見すると変換効率は低いように思えますが、従来の固体レーザーと比較すると電力の変換効率は10ポイントほど上がっているとのこと。また、レーザー兵器自体も小さく強力になり、軍用車両や艦艇、航空機に搭載することも容易になりました。

実際に2014年12月に、アメリカ海軍はすでに1発100円という低コストで、輸送揚陸艦に搭載したレーザー兵器を発射する実験を公開しています。

米海軍が1発100円のレーザー兵器発射実験を公開、強力な破壊力もプレステ感覚で操作可能 – GIGAZINE


また2020年5月には、アメリカ海軍は軍艦からレーザービームでドローンを撃墜する実験にも成功しています。

軍艦からレーザービームでドローンを撃墜するテストに成功したとアメリカ海軍が発表 – GIGAZINE


さらに、単にドローンやロケット砲を撃墜するだけでなく、戦闘機やミサイルの前方に搭載することで極超音速での飛行を実現しようという試みも行われています。

レーザーで戦闘機やミサイルの極超音速飛行を可能にする技術が開発されている – GIGAZINE


レーザー兵器については、ロッキード・マーティンが業界をけん引しているとのこと。アフザル博士は「低コストの無人偵察機に対して高コストで高性能な誘導ミサイルを使いたくないと考える人もいるでしょう。​運用コストの低いレーザーを使用すれば、より強固な脅威に対して高い反応速度で対応することができます。​脅威の変化に対応するための選択肢や機能を提供できるというのは、まさにロッキード・マーティンのバリュープロポジションであると思います」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *